ネガティブ主婦の一喜一憂ブログ

基本ネガティブですが、希望をもって生きてます。いろいろと持病がありますが、最低限のお薬でそこそこの状態を保って暮らしています。動揺しやすく繊細気質な私の、病気や日々の生活の一喜一憂を綴るブログです。たまに可愛いワンコ登場☆

『Weather』伊坂幸太郎(『Happy Box』より)

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アンソロジー『Happy Box』

今回は『Happy Box』と言うタイトルのアンソロジーに収録されている、伊坂幸太郎さんの『Weather』というお話をおすすめしたいと思います。

 

アンソロジーとは、いろんな作家さんの短編集をあるテーマによってひとつの本にまとめたものです。

1冊で複数人の作家さんの短編が読めるので、これまで読んだことの無かった作家さんとの出会いもあり、私はけっこう好きです。

 

今回の『Happy Box』という本は、名前に「幸」の文字が入る作家さん5人の「幸せ」がテーマの物語をまとめたものです。

 

『Happy Box』 伊坂幸太郎

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『Weather』あらすじ(結末に言及しない軽度なネタバレあり)

僕は天気の話に詳しい。

腐れ縁でプレイボーイの同僚・清水が連れてくる女の子と話をするときに、何気なく振った会話が別の女性とのエピソードだったりして、何を喋っても火種になってしまう。だから僕は当たり障りのない天気の話をするようになり、その知識が素人レベルを超えてしまった。

 

そんな奔放だった清水が結婚することになり、その相手だと紹介された女性は僕の高校時代の元恋人・明香里だった。

 

その場はやり過ごすが、翌日に明香里から連絡がきて、清水のことをいろいろ教えて欲しい、スパイになってくれと言う。彼女は清水のこれまでの派手な女性関係には気が付いており、今も他に女性がいるのではないかと心配なのだと明かす。

 

そんな元恋人の心配は現実のものにはならず、無事に迎えた結婚式。僕も客として招かれるが、式の間中、新郎の動きはずっと落ち着かない――。

 

好きなシーン

「おい、大友、お前がそんなに泣いてどうするんだ」と笑う清水も泣いていた。

  ~略~

「泣いてるじゃないか」と言う清水は、女性と奔放に付き合っていた頃の、調子が良いだけの彼とは違って見えた。

その場のほかの者たちが、泣いている僕たちを、不思議そうに眺めているのが分かるため、早く涙を止めなくてはと思うのだが、なかなかうまくいかない。

「いいか、これは」僕は答える。「小雨みたいなものだ」

恥ずかしさを隠すために、「気象庁が」と続ける。

気象庁が、「激しい雨」と言う場合、一時間に三十ミリ以上五十ミリ未満の雨のことを指し、「非常に激しい雨」は一時間に――。

 

引用元:『Happy Box』収録、『Weather』伊坂幸太郎PHP文芸文庫)より

 

清水と明香里の披露宴が終わり、談笑するシーンです。

泣いているその涙を、「小雨だ」という主人公の真面目さ、おかしさ、優しさが伝わってきます。

 

みんな揃って涙を流すような展開になった理由は、ぜひ物語を読んで、その温かさと共に知ってください。

 

その他の収録作品

〇『天使』山本幸久

〇『ふりだしにすすむ』中山智幸

〇『ハッピーエンドの掟』真梨幸子

〇『幸せな死神』小路幸也

 

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