家族が病気の犠牲にならないように
sentimentalover.hatenablog.com
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統合失調症の治療は長期にわたるので、患者さん本人だけでなく、患者さんを支える家族も疲弊してしまうことがあるかも知れません。
これまで2回の記事でも書いたように、患者さんの回復を促すために家族が心がける点は、主に次の3つです。
①批判的になりすぎない
②過保護になりすぎない
③情緒的に巻き込まれない
家族は患者さんを、病気だからとついつい甘やかしてしまいがちです。
大げさで情緒的な反応、過保護な対応、極端な自己犠牲は、家族が苦しみに巻き込まれすぎているサインです。
今回の記事では、3つ目の「情緒的に巻き込まれない」について、それを避けるためのポイントを考えていきたいと思います。
一緒に興奮しない
患者さんは、感情が高ぶると、相手の言っていることを頭の中で整理するのが困難になります。
こういう場合議論してもかみ合いません。
そのことを理解していれば、無用な口論は避けられます。
患者さんが興奮しているときは、きもちが鎮まるまで待ちましょう。
家事の手伝いなど、役割をはっきりさせる
患者さんと話し合って、食事の後片付けを任せるなど、家庭内の仕事や手伝いをしてもらうことは、患者さんにとって意味あることです。
自分は家族から世話を受けるだけの存在ではなく、たとえ少しでも家族の役に立つことをしているという自覚を患者さんがもつことは、本人の焦りのきもちをやわらげます。
家族との関係を良い状態に保つことにもつながります。
患者さんのペースを尊重する
患者さんがすることは、多少時間がかかってもできるだけ干渉しないで、患者さんのやり方を尊重しましょう。
声をかけないと動かないような場合でも、頭ごなしに「命令」するようなことは避け、あくまでも自分の意思で行えるようにサポートしましょう。
やり方がぎこちないと、つい手助けをしてしまいたくなりますが、まずは見守ることが大切です。
できたことは褒め、感謝する
家族にとってはできて当たり前のことでも、患者さんにとっては難しいことも少なくありません。
多少のミスがあっても目をつむり、できたことや良かった点を褒め、感謝しましょう。
どうしても正さないといけないようなミスであれば、次回への課題として、前向きにとらえられるような声掛けをしてあげてください。
自信を喪失している患者さんにとって、家族の感謝や励ましは、何よりの支えになります。
私の経験
私も病気になって、実家に帰りしばらくは何もできない日々を過ごしました。
少し回復してきて、気分的にはまだまだとても不安定でしたが、途中からは家の手伝いをするようになりました。
始めは、母が洗濯物をたたむのを一緒に手伝うというとても簡単なものでしたが、それでも途中で気分が悪くなってしまい、最後までやり遂げられないこともありました。
しかしだんだんと負担に感じず行えるようになり、母が買い物に出ているときなど、代わりに取り込んでたたんでおくことも苦ではなくなりました。
他には、実家には畑があるので、水やりや収穫を手伝ったりもしました。これも始めのころはとてもしんどくて、サボってしまうこともありましたが、汗だくになり両親と一緒に1時間以上の収穫も行えたりと、最後まで手伝えると達成感がありました。
最初の何年かは母と一緒でないと行けなかった愛犬の散歩も、母が忙しいときにはひとりで行けるようになり、そのことも母は喜んでくれました。
母が私の薬を受け取りに行ってくれている際に、夕食の準備が遅くなってしまっていたことがあり、豚汁を作っておいたらとても美味しいと感謝してくれたこともありました。
今では私は、結婚して実家を出て専業主婦をしているので、家事は手伝いではなく私の仕事となっていますが、主人はとても感謝して労ってくれます。
実家にいるときの母からの感謝や、現在の主人の感謝が、私の自尊心を支えてくれていると思います。
私が家の中で役割を持つことで、家族が私の病気に情緒的に巻き込まれないでいられているかは断言できませんが、適度な距離感と作るのにはとても良いことだと感じます。
ただし、患者さんの症状をよく見て、無理強いはしないでください。
これまで3回に分けて「批判的になりすぎない」「過保護になりすぎない」「情緒的に巻き込まれない」という、統合失調症の患者さんの回復を促す家族の接し方について考えてきました。
次の記事では、コミュニケーションを上手くとるコツと、家族教室について紹介し、このトピックをしめたいと思います。
〇もっと詳しく知りたい方へ〇
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