そういう教育法なのね
大学時代、天ぷら屋さんでアルバイトをしていたときのお話です。
おばあちゃんとお母さん、小学生くらいの娘ちゃん2人の4人組がお食事をしていかれました。
私がレジを担当したのですが、おばあちゃんがお支払いをしました。
私が「ありがとうございました~」と言い、レジにお金をしまったりしていると、お母さんが「ほら、ちゃんとごちそうさまでした言いなさい」と言いました。
娘ちゃんたちが「ごちそうさまでした~」と言ってくれたので、再度こちらもお礼を言おうと顔を上げると、私ではなくおばあちゃんに向かって言っていました(笑)
お母さんのお母さんなのか、お姑さんなのか分かりませんが、ご馳走してくれたおばあちゃんへのお礼だったわけですね。
お母さんと娘ちゃん2人は私に一瞥もくれずお店を出ていき、最後におばあちゃんが会釈をしてくれて出ていかれました。
お母さんは、そういう教育法なわけですね。
なかなか衝撃的でした。
「いただきます」も「ごちそうさま」も言わせるな!
このお母さんがモンペと言えるレベルの人だったかは分かりませんが、このころはちょうどメディアでモンスターペアレントという名称が使われ始め、問題視され始めたころでした。
私は教員養成課程で学んでいたので、「最近こう呼ばれる親が問題視されている」と、授業でも習いました。
大学の先生たちの中には、以前は実際に小・中学校で教鞭をとっていた人も多く、困った親のエピソードを教えてくれる先生もいました。
その中でも衝撃的だったのは、「給食の時間に『いただきます』と『ごちそうさま』を言わせるな」とクレームしてきたという親の話です。
「義務教育なんだから給食費を払う必要は無いはずだ」と主張する親がいることも問題視されていたころでしたが、この話題の親は、給食費は支払っていたと。
その代わり、「お金を払っているんだから、子どもに『いだだきます』と『ごちそうさま』を言わせるなんてどういう事だ」という主張だったそうです。
なに? どういうこと?
食材(命)に対して、そして作ってくれた人への感謝として言っている「いただきます」と「ごちそうさま」だと思っていましたが、このモンスターペアレントにとっては、タダで食べさせてもらうときのお礼の言葉だったようです。
家ではどうしていたんだろ??
親の話だけなら「世の中にはいろんな考えの人がいるな~」で済むかもしれませんが、こういった考えを子どもが持っていたら、学校としては何かしらのアプローチをしていかなければ行けないですよね。食育の授業とか。
現場に出ると、こんなクレームに対応しなければいけなくなるのか……、嫌だな……と思ったものです。
積極的に言うようにしています
私は、自分で作ったときも、お店で食べるときも、「いただきます」と「ごちそうさま」はちゃんと言わないとなと心がけています。
と書くと、なんかいい子ちゃんとか、ぶりっ子みたいに思われてしまうかも知れませんが。
子どものころは、なんか恥ずかしくて、ボソボソっとしか言えてなかったりしたんです。
ですが、主人と付き合うようになって、主人が「いただきます」をしっかり言う人だったので、恥ずかしくなってちゃんと言うようになりました。
反対に主人は「ごちそうさま」が無いことが多く、私は「ごちそうさま」はちゃんと言うことが多かったので、促すように、よりはっきり言うようにしました。
持ちつ、持たれつ。
そしてお店の場合は、店員さんにも「ごちそうさまでした」とちゃんと言いたいなと思っています。
これは、私がバイト時代に言われて嬉しかったからです。
バイトしてみるまで気づかなかったけれど、「ごちそうさまでした」って言ってもらえると本当に嬉しかった。「美味しかったです」とまで言ってもらえると、めっちゃ元気が出ました。
こんな短いコミュニケーションにも緊張してしまう私ですが、この言葉はちゃんと伝えたいと思っています。
食材の命にも、作ってくれた人にも感謝を。