早期発見のために、周囲の人に理解しておいてほしいこと
統合失調症は、早期発見・早期治療によって、重症化を防ぐことができます。そのために、身近な人の様子が心配だなと感じる方に、知ってほしいことを紹介します。
今回は、病気を発症しやすい時期と病気のサインについて、そして病気のサインを感じ取ったときに、周囲の人にとって欲しい行動についてお話しします。
統合失調症患者本人である、私の例と考えも併せてお伝えさせてください。
発症しやすいのは青年期
【大切な時期が失われてしまうおそれ】
統合失調症は若い世代に多く、15歳~35歳くらいの青年期に発症することが多いとされています。
私が統合失調症を発症したのは、大学4年、22歳のときでした。
つまり、学生時代や社会人になりたてのころにその前兆が始まることが多く、それによって、人間関係を構築したり社会人としての準備をしたりする大切な時期が失われてしまうのが、統合失調症の難しいところです。
【統合失調症の原因】
統合失調症の原因については、まだ明確なメカニズムは分かっていません。
特定の1つの原因から起こるのではなく、いくつかの危険因子が重なることで発症すると考えられています。
仕事や人間関係のトラブル、健康問題、近しい人との離死別、環境の変化など、ストレスが危険因子となりうると考えられます。
私の場合は、就職することへの不安や恩師と連絡がとれなくなってしまったこと、恋人との別れ(別れるにあたってのやりとり)、友人との関係悪化といったことが重なりました。
「信頼していた人との人間関係の破綻」という言葉を本で目にし、その通りだと思いました。
【どのような人が発症するのか】
遺伝的な要因が関係するという説もありますが、統合失調症の患者さんの家族を調べても、約9割の人は発症していないため、関係はそれほど大きくないと考えられています。
私の親族にも、統合失調症患者はいません。
また、心配性な性格の人が発症しやすいという説もありますが、否定されています。
ちなみに私は心配性です。病気を発症して、その度合いがひどくなりました。
実際には、脆弱性(ひとりひとりのもつ病気のなりやすさ)に、さまざまなストレスが重なり合って発症すると考えられます。
典型的な症状は「進行期」に現れる
統合失調症は、4つの段階を経て進むと考えられています。
【4つの段階】
- 病前期—―10歳ころまでに、軽度の認知機能障害がみられることがある。しかしほとんどは無症状で、病気に気付くことは難しい。
- 前兆期—―10歳~20歳ごろにみられる。焦り、不安感、不眠、感覚過敏、集中困難、気力の減退などがみられる。※ここで発見し、支援を始めることが望ましい。
- 進行期—―陽性症状(幻覚や妄想など)や陰性症状(意欲の低下など)といった、統合失調症の典型的な症状が現れる。不安感や恐怖感が強くなり、日常生活や人間関係に支障をきたす。
- 休息期—―治療によって陽性症状が徐々に落ち着く時期。再発の可能性があるため、治療は継続していく。
【前兆期の段階で気付くことが重要】
陽性症状が現れる前に、不安感や不眠などが現れる「前兆期」があります。この段階で適切な支援を開始できれば、病気を封じ込めることも十分可能であると考えられています。
私にも前兆期があり、焦りや不安感、不眠といった症状がありました。その他にも、ひどいニキビ、喘息の発症など、ストレスからくるとされるさまざまな症状が現れました。 しかしこの時期に、精神科を受診することはできませんでした。
周囲の人が気づくために ~病気のサイン~
【患者さん本人が気付くのは難しい】
統合失調症の患者さんのほとんどは、最初は「自分は病気だ」という認識はありません。幻視や幻聴などが、本人にとっては本当のことだと思えているからです。
そのため、周囲の人が病気に気付いてあげることが必要です。
陽性症状が現れていれば気付きやすいのですが、できればその手前で気付けることが理想です。
私の場合は、陽性症状以外にパニック発作などがあり、とにかく精神的につらいという思いが強かったので、自ら精神科を受診することを希望しました。
しかし、自分はうつ病とかパニック障害といった何らかの精神疾患なのではという思いはありましたが、統合失調症であるとは微塵も思っていませんでした。
統合失調症については病気になる前から少し知識がありましたが、自分がそうであるとは気付けませんでした。
【いちばんのサイン】
いちばんのサインは、「これまでできていた普通のことができなくなる」です。身支度や食事、学校や仕事に行く、友だちづきあいといった、それまで負担でなかったようなことが急にできなくなり、ふさぎ込んだり引きこもったりするようになったら。「病気の前兆かもしれない」ということを念頭に置いてください。
子どもが学校に行かなくなる原因はさまざまありますが、統合失調症の可能性もあることを知っておくと、対応がしやすくなるかもしれません。
【病気のサインに気付いたら】
病気のサインに気付いたら、頭ごなしに否定したりせず、話を聞いてあげてください。本人はこれまでできていたことができなくなり、つらく苦しい、不安な気持ちを抱えています。
幻覚や妄想も、本人にとっては現実のことなのです。そんな体験をしているんだな、と受け止めて、寄り添って話を聞いてあげることが大切です。
私は周囲につらさを話しても、受け入れてもらえなかった経験があります。そんなのはみんな同じように悩んでいるだとか、あなただけが特別につらいのではないだとか、被害妄想だとか。
それまで信頼していた人たちに煙たがられ、距離をとられたことで、症状が悪化してしまったと感じています。
精神科の受診を検討
【まずは相談】
病気の前兆かもしれないと感じたら、家族だけで抱え込まず、スクールカウンセラーや自治体の精神福祉保健センターに相談してみてください。
私の通っていた大学にも、月に2回の勤務ですがお医者さんが来てくださる日がありました。
相談に行こうと思い、友人に同行してくれるよう頼んでいたのですが、その友人との関係が悪化してしまい、結局相談に行く勇気が出ず症状を放置してしまいました。
【精神科の受診を勧められたら】
幻覚や妄想など、相談した症状によっては、精神科の受診が勧められることもあるでしょう。患者さんは受診を嫌がることもあるかもしれませんが、不眠や食欲の低下、意欲の低下などの不調を抱え、つらさを感じているはずです。
「体調不良や心のつらさが心配だから、一緒に病院に行って相談しよう」というような伝え方をすれば、患者さんも受診する気持ちになれるのではないでしょうか。
何の病気であるにしても、できるだけ早く治療を開始した方が、早く回復したり症状が軽く済むことも伝えてみると良いかもしれません。
繰り返しになりますが、早期発見・早期治療が大切です。
統合失調症の主な3つの症状について知りたい方はコチラの記事も↓↓
sentimentalover.hatenablog.com
〇さらに詳しく知りたい方へ〇
厚生労働省のサイトのリンクです↓↓