「後悔」が起こる仕組み
「あのとき、あんなことを言わなければよかった」
過去の自分の言動に対して、堂々巡りの思考を繰り返すのが「後悔」です。
後悔の感情をなかなか手放せなかった経験は、みなさんもあるのではないでしょうか。
私はとてもたくさんあります。特に統合失調症を発症したころは、いろんな後悔がぐるぐると頭の中を駆け巡っていました。
自己嫌悪や罪悪感、絶望感などを伴い、どんどん気分は落ち込んでしまいますよね。
一見すると、今後同じようなことが起ったときに失敗しないようにと、「反省」をしているように思われますが、実態はそうではありません。
現状を回復しようとし、過去を何とかやり直せないものかと、つまり不可能を可能にしようと「強欲」に考えているのが後悔です。
今回の記事では、この後悔という感情を上手に手放す方法を考えていきたいと思います。
ぐるぐる思考がマイナスな感情を作る
「今はとても不幸である」→「それはあのとき、あぁしてしまったから」→「もっとこうすれば良かった」→「なんでこうできなかったんだろう」→「今度からこうしよう……でも……」→「今は不幸だ」→「どうしてあんなことを」
同じことをぐるぐると考え続けるため、その同じ通り道のセロトニンが、他のところには余っているのにその一連の通り道の部分だけ不足して、情報を伝達する力がなくなるそうです。
これによって、だんだんとうつうつとした感情になってしまいます。
変えられない過去を変えようとする「強欲」
思考が過去に向かうのは、「今の自分は不幸だから、その問題解決を図ろう」と原因を探し出して、改善しようとしているからです。
そこで思考が未来のことに向かい、考え込むだけでなく行動することで世界が変わっていけば、それは後悔ではなく、必要な「反省」だったと言えますよね。
しかし、「あのとき、あぁしていれば」と過去を変えようとばかり考えてしまうのは、単なる強欲です。過去を変えることは誰にもできませんよね。
覆水盆に返らず。
それでも感情は、しつこく、過去をやり直せないか、何か手はないか、どこか抜け道はないか……、と堂々巡りしてしまいます。
堂々巡りからの脱出
後悔から抜け出すには、堂々巡りの思考から感情を脱出させることが必要です。
そのためにはまず、自分が堂々巡りをしていることに気づく必要がありますよね。
思考の堂々巡りをしていると、必ず辛く悲しい気持ちになります。その苦しみは「こんなことをしていたら心が壊れちゃうよ。早く改善しよう」という、ありがたい警告です。
この苦しみに気づいたら、「私は堂々巡りをしている」と客観的に自分を見て、脱出する手を打ちましょう。
自分を説得する
後悔の出発点は、「今の自分は不幸だ。なぜならあのとき、あんなことをしてしまったから」という変えられない過去の出来事です。
しかし、「今の自分は不幸だ」は、自分が今現在下している独自の判断でしかありませんよね。
なので、自分で「今不幸だ」を「今幸福だ」に多少強引にでも変えることは可能なんです。
「今、自分は幸福だ」と感情を説得する、もしくは誘導すると、それだけで苦しい堂々巡りから脱出することができるのです。
小さな幸せを数える
とは言っても、後悔している最中に、自分が幸福だと思うのはとてもむずかしいですよね。そんなときは、自分にとってありがたいと思えるものを数えてみましょう。
今不幸だと思っている問題に関係のないことでも、もちろんOKです。
大切な人の存在。自分や家族の健康。金銭的な不安がないこと。
好きなものを食べられる自由。温かい布団で横になれること。空気が吸えることだって、本当はとてもありがたいことです。
最初は多少無理やりでも、そんなありがたいことを、ひとつひとつ数えてみてください。
だから私は幸せ
これは私がかつて実際に行った方法ですが、小さなノートに、その日のハッピーなことを3つ書くという、簡単な日記のようなトレーニングをしました。
そのノートを振り返ってみると、
「今日は家事が多くて○○くんにあたってしまったけれど、ちゃんと謝ることができた。怒らずに手伝ってくれるなんて、優しい旦那さんで幸せ」
「人に嫌なことを言われたのに、はっきり言い返せなかった。でも私は同じ土俵にたたないために、やり返さない。そう思える自分は偉いから幸せ」
こんな趣旨の内容が書かれているページもありました。
すべてがハッピーなことではなく、むしろマイナスな出来事がスタートなのだけれど、それを自分の力で幸福な方向にもっていくのです。
自分を幸せへと誘導するのです。
文字で書くことがおすすめです。
そして私の場合、「だから私は幸せ」と締めくくっていました。
こうした感情のメカニズムを知ってトレーニングすると、堂々巡りの今より、自分のきもちと仲良くできるのではないでしょうか。
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