パニック障害
私には、統合失調症の併発症状としてのパニック発作があると、昨日書きました。
一般的なパニック発作の内容や発作による生活への妨げについてもまとめてあるので、前回の記事を読んでいただいたいない方は、どうぞこちらも読んでください。↓↓
sentimentalover.hatenablog.com
昨日の記事では、パニック障害がどのようなものか紹介するところまでしか書けなかったので、今回はその治療法についても紹介させてください。
もし、ご自身や身近な方がパニック障害かも? と思ってこの記事を読んでくださった方がいれば、参考にしていただけたらと思います。
治療のはじめ
この期間は、最初の受診から2週間~3か月ほどとされています。
【発作を抑える治療】
パニック障害の薬物治療は、主にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)とベンゾジアゼピン系抗不安薬という薬でスタートします。
こららの薬で、まずはパニック障害の中心であるパニック発作を抑えることを目指します。
SSRIは少量から服用を始め、少しずつ服用量を増やします。
SSRIは十分な効果が現れるまでに2~4週間かかるので、効果が早く現れるベンゾジアセピン系抗不安薬を一緒に服用し、パニック発作が起こらないようにします。
ベンゾジアセピン系抗不安薬は「依存状態になる」と言われることがありますが、医師の指示をきちんと守って服用すれば安全なことが分かっています。
【副作用が現れることも】
SSRIの飲み始めに、吐き気や下痢などの副作用が現れることがありますが、多くの場合は1~2週間程度で自然に治まります。
また、飲み始めや増量時に、不安やイライラ、そわそわするなどの症状が現れることもありますが、服薬量を加減することでほとんどの場合は対処できます。
気になる症状がある場合は、我慢したり勝手に服薬を中止したりしないで、医師に相談してください。
少し良くなってきたころ
この期間は、最初の受診から1~3か月ほどとされています。
【予期不安や広場恐怖を克服し、回避行動を解消】
パニック発作がコントロールされると、予期不安(パニック発作が生じることに対する不安)や広場恐怖(パニック発作が生じることに対する不安)も自然と減ってきます。
しかし、パニック発作が治まっても予期不安や広場恐怖、回避行動が残ることがしばしばあります。
そのような場合は、予期不安や広場恐怖の克服と、回避行動を解消するための治療を行います。
【SSRIの有用性】
SSRIは予期不安や広場恐怖を軽くし、回避行動を減らす効果があります。
また、パニック障害をきっかけにうつ病やうつ状態になってしまうこともしばしばあります。SSRIは、うつ病やうつ症状にも効果があるとされています。
【認知行動療法で克服】
予期不安や広場恐怖から生じる回避行動を克服するためには、それまで怖くて避けていた状況にあえて挑戦していく必要があります。
そのため、服薬と合わせて認知行動療法をとり入れると良いです。
〇認知行動療法〇
・パニック発作を死につながると思い、過度に恐れる人がいます。認知療法はこの思い込みを修正します。
・発作が起こったときのことを心配して、回避行動が続く人もいます。この場合、それまで避けていた状況にあえて直面する、行動療法の「エクスポージャ療法」が有効です。
・エクスポージャでは、達成したい最終目標を決め、そこに至るまでのプロセスを、容易な課題から徐々に困難な課題へと細かく設定し、一段階ずつ克服していきます。
【認知行動療法(エクスポージャ療法)の例】
人込みでの発作が怖くて1人で買い物に行けないAさんが、最終的なゴールを決めて、苦手な場面に段階的にチャレンジします。
1.知り合いや家族と繁華街に出てみる
・初めの間は短時間だけ
・少しずつ外出時間を長くしてみる
2.1人で繁華街に出てみる
・初めは短時間
・その後少しずつ時間を長くしていく
3.繁華街で、簡単な買い物をしてみる
・初めはお店に入るだけ
・次は、あらかじめ決めていたものを買う
・馴れたら自由に選んで買い物をする
4.繁華街で楽しくディナーをする(最終目標)
生活のリズムが戻ってきたころ
この期間は、最初の受診から6か月~1年ほどとされています。
【きちんと治すには】
パニック障害をしっかり治して再発しないようにするには、十分に時間をかけて治療し、ストレスへの耐性と体力をつけることが基本です。
そのためには、規則正しい生活やバランスの良い食事、適度な運動を心がけましょう。
寝不足や過労、風邪、夏の暑さなどは、調子を崩すきっかけになってしまいます。このようなときは、一時的に薬の量を増やすなどの対応がとられることもあります。
【自己判断で服薬を調整してはダメ】
自己判断で薬を減らしたり中止したりしてしまうと、それまでに 積み重ねてきた治療効果を失い、振り出しに戻ってしまうおそれがあります。
それに、突然に服薬をやめると、中断症候群(頭痛、吐き気、イライラ、不眠、身体の動揺感など)が現れることがあります。
これらは不快な症状ですが、一時的なもので危険はありません。もし十分回復しないうちに服薬をやめてしまっても、治療をやり直せば効果は得られます。
すぐに医師に相談して、治療を再開してください。
治療を終えるとき
この時期は、最初に受診してから6か月~1年ほどでむかえられるとされています。
【薬を減らし、治療を終了】
治療を終了するときは、患者さんのこころとからだの回復の度合いを見ながら、段階的に薬の量を減らしていきます。
急に服薬をやめると中断症候群が現れたり、パニック障害が再発することもあります。
パニック障害の治療が終わるまで、焦らずしっかりと薬を飲み続けることが、元の生活を取り戻すための近道です。
参考資料:
まとめ
私の過去の症状を振り返ると、どのつらさがどの精神疾患に由来するものなのかはっきりと区別がつかないのですが、引っ越しのために新幹線に乗らなければいけなかったとき、本当にこらえるのが苦しい時間だったことを思い出しました。
病気を発症した中、私はなんとか大学を卒業して、ひとり暮らしのアパートから実家に戻りました。
この時期はまだ、現在お世話になっている地元の病院ではなく、大学のあった市内の病院に通っているころでした。
その最初の病院では、私の訴えるつらさは医師にしっかり受け取ってもらえず、大したことのない症状だと判断されました。そのため、本格的な治療や服薬は受けておらず、おそらくパニック症状に対する治療は行われていませんでした。
ちゃんと治療を受け始めて、パニック症状だけでなく統合失調症の症状も少しでも緩和された状態で、卒業や引っ越しを迎えられたら良かったのにと思ってしまいます。
ご自身やご家族に「パニック障害なのかも?」、もしくは「何らかの精神疾患なのでは?」という症状が見られたら、早めに病院を受診してください。
患者さんご本人ではつらいこともあると思うので、周囲の方は、病院について調べたり、患者さんをサポートしてあげてください。
*ご自身、ご家族の症状を調べたい方へ*
「パニック障害 セルフチェック」といったキーワードで検索すると、精神科クリニックなどが公開しているセルフチェックサイトがいくつかあり、今ある症状がパニック障害かも知れないのかを自己診断することができます。
受診の参考にしてください。
つらい思いをしている方が、少しでも早く適切な治療を受けられるよう願っています。