そもそも愛情を感じるときとは?
「愛が憎しみに変わるとき」というタイトルを付けて、何だかどろどろした恐ろしい記事に思われてしまいそうだったので、「?」を付けてみました。
ちょっとはフランクになったでしょうか。
脳科学者の中野信子さん、心理学者の澤田匡人さんが書かれた本を読んでいます。
まだ途中なのですが、これはしっかり心に刻んでおこうという内容がありました。
まず、私たちが「愛情」とみなしているものは何なのか。
愛情とは、自分の感情が崩れたときに、他者がどうケアしてくれたかという経験に基づいて理解されます。
そうそう、そうなのだよ。
つまりピンチの時に手を差し伸べてくれた人。
そういう時に、面倒だなって逃げていく人と、親身に寄り添ってくれる人。
こうした関係の中でで、他者が自分の思うように動いてくれなかったときに生じる感情の一つが嫉妬です。
嫉妬は、自分を必要なときにケアしてくれないことを感知することで生じる感情とも言えますから、まったく嫉妬をしないというのは、その相手との関係が重要ではないと考えていると同義です。
そういうことなんだよ。
だって、「そこそこ仲良いかな~。でも相談とかはしたことないな~」くらいの距離の友人が、困ったときに助けてくれなくても「恨む」というほどの強い気持ちは生じないもの。
まぁそんなもんだよね、と、どこか納得できる。
でも信頼して頼って、逆の立場だったら私絶対あなたのために何とかしてあげたいと思うよって相手が手のひら返した時。
言い表せないほどの大きなショック。
というか、私を統合失調症にまで追い込んだもの、そして今も苦しんだりするものって、すべてこの感情じゃないか!
私の苦しみのほとんどは、「可愛さ余って憎さ百倍」から出来ていたのね!
嫉妬を恨みに変えないためには
この本では、嫉妬を恨みに変えないために(恨みの方が大きな憎悪)、相手と話し合って、今後の関係について考える機会にすると良いと説いています。
そうか。
私は、裏切られたと思う悲しみと苦しみのあまり、話し合いなんてものが出来ていなかったのだなと。
私がそういう時にしてしまうことは「要求」。
私こんな具合だから、こうして欲しい。こうしてもらえると嬉しい。
そしてそれに応えもらえなかったときに、相手からの愛情が無いことを知って、心が傷を負ってしまったわけだね。
まあ、相手からの返事も「話し合い」ではなく「悪口」や「一方的なお説教」、そして「無視」だったけれどね。
場合によっては、別れることが最良の選択となるかもしれません。
「別れる」なんて、交際相手との関係性の中だけだと思っていたけれど、パートナーじゃなく友人だって恩師だって、「別れる」という選択に進むことがあるのだと、ピンと来ていませんでした。
そうか、「別れる」って、いろんな相手との間にあることなんだな。
そして、話し合いにならない相手に嫉妬しているのであれば、その相手とはそもそも関係が築けていない。
関係を築けていない相手に何かを期待するのは、無理なこと。
なんかちょっと、すとんと心に落ちる内容でした。
次に進むチャンス
最後に、この章はこう結んでいます。
嫉妬は、他人が自分の期待に沿ってくれなかったことを自分に知らせてくれるシグナルに過ぎません。
嫉妬をこじらせて恨みに変えるのも、嫉妬から関係を見つめ直すチャンスとするのも、それは私たちが抱える感情とのつき合い方ひとつで決まるのです。
私にとっては、いろんな人たちとの関りが病気になるほどの大きな出来事でした。
病気とは一生付き合って行かなくてはいけなくなってしまったし、人生の波の中でまた悲しく思い出したり恨んだりすると思います。
でもこの本の内容を思い出すと、深く深く落ちていきそうな気持ちが、一旦立ち止まるような感覚になりました。
これまで、自分の抱える負の感情をどうにかしようと、いろんな本を読んできました。
でもそれは、カウンセリング寄りの、セラピーのようなものが多かったです。
この本は心理学だけでなく、脳科学の面からも「恨み」とそれに関わる感情を紐解いています。
そこが、これまで読んできた本とはまた違って、なるほどと思えるところでした。
少し景色が変わった感覚があります。
ひとます、最後まで読んで、感情の整理をしてみたいと思います。
参考文献:『正しい恨みの晴らし方 科学で読み解くネガティブ感情』
中野信子+澤田匡人 (ポプラ新書)